任意?強制?建設キャリアアップシステムに登録しないとどうなる?

本年(2019年)4月より本格運用となりました建設キャリアアップシステムですが、まだ登録をしていない方、様子をうかがっている方が気になるのが、このシステムに登録しなかった場合どうなるのかということではないでしょうか。

今回は登録をしなかった場合に現状で考えられる影響等について解説いたします。

システムへの登録は義務ではありません

現状、建設キャリアアップシステムへの登録は任意とされており、登録しないことによる罰則等はありません。

ただし、状況によっては登録が必須となる場合もあるため注意が必要です。

外国人技能実習生を受入れる場合は登録が必要です

建設分野では外国人技能実習生の失踪が最多となっており、この対策の一環として技能実習および外国人建設就労者受入事業の受け入れ基準の見直しがなされています。

このコラムは建設キャリアアップシステムをテーマに作成しているため、見直しの詳細については省略させていただきます。
詳細につきましては国土交通省ホームページをご覧ください。

この見直しで追加された項目で建設キャリアアップシステムについてのものがあり、次のように定められています。

  • 申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること
  • 技能実習生、外国人建設就労者を建設キャリアアップシステムへ登録すること

この見直しは2020年1月より施行されることとなっています。
また、在留資格「特定技能」での受入れ基準の見直しについては、既に (2019年4月)施行されています。

このため、技能実習、外国人建設就労者受入事業および特定技能での受入れを予定している場合、建設キャリアアップシステムの登録が必須であると認識しておく必要があります。

外国人材の受入れを行っていないなら、登録不要?

上記で外国人材の受入れを行う場合、登録が必須であると説明させていただきました。

では、外国人材の受入れを行っていない、予定もないため登録をしないといった場合、どういったことが考えられるのでしょうか。

経営事項審査の加点項目への影響

経営事項審査では「技術力」および「その他社会性」の項目で改正が予定されています。

技術力

技術力(Z)の中の技術員(Z)において、建設キャリアアップシステムでレベル3、レベル4の技能者を加点対象とする。
(2020年4月改正予定)

建設キャリアアップシステムにおいて、技能者はレベル1からレベル4までの4段階で評価がなされます。

これら技能者レベルの判定を評価に活用するものです。

その他社会性

知識及び技術又は技能の向上に関する取り組みの状況(W10)を新設し、技術者ではCPD( 継続教育 )の取得単位を評価、技能者では建設キャリアアップシステムでのレベルアップを評価する。
(2021年4月改正予定)

建設業法において建設工事の従事者は知識、技術、技能の向上に努めることが求められており、継続的な教育意欲促進といった観点で、新たに追加された評価項目となります。

また、「その他社会性」の項目においては、 経理状況(W5) の改正も予定されており、建設業経理士について単に資格を保有しているだけではなく、登録経理士講習実施機関に登録された登録経理士( 経理に関して継続的に知識の向上に努めている経理士 )を加点対象とするといった改正もなされています。

影響はある??

経営事項審査基準の改正で、建設キャリアアップシステムへ登録する技能者レベルによって技術力の評価がなされ、さらに継続的な教育意欲促進に取り組んでいるとして技能者のレベルアップも評価対象となります。

評価対象が増えるということは、経営事項審査における評点への影響は当然出てきます。

ただし建設キャリアアップシステムにおいて技能者の能力は4段階にレベル分けされるのですが、 現時点(2019年11月)で、この能力を評価する「認定能力評価基準」が決定しているのは登録基幹技能者制度のある35業種のうち、鉄筋技能者、型枠技能者等9業種にとどまっています。

<追記>
2020年3月31日付けで、前35業種の基準が決定されました。

この基準が決定するまでは、適正にレベル分けを行うことができません。

このため例外としてレベル4が与えられる「登録基幹技能者」の資格保有者を除き、多くの方はレベル1でのスタートとなります。

つまり認定能力評価基準が整備されるまでは、大きな差はつきにくいということになります。

認定能力評価基準の整備にはもうしばらく時間を要すると思われますが、時期が早いか遅いかというだけで、経営事項審査結果への影響は発生するため早めに準備をしておくべきです。

公共工事への影響

公共工事等への影響については今後、注意深く見守っていく必要があります。

なぜかというと、知っている方もいると思いますが、既に独自の活用を開始または検討している発注機関があります。

いくつかの事例を紹介します。

活 用 事 例
【山梨県】
総合評価落札方式による土木一式工事において、事業所および技能者の登録が行われている場合、評価点2点を加点

【長野県】
・総合評価落札方式において、現場でシステムを運用する企業の評価を検討
・登録業者等に対し、入札参加資格付与における客観点数での加点を検討

【福岡県】
2019年度より入札参加資格審査における地域貢献活動(働き方改革)の評価項目で事業者登録を選択項目の一つとする

3県での取り組みを紹介しましたが、上記以外でも栃木県、静岡県、熊本県、宮城県などでもシステム登録に伴う加点を検討している模様です。

こういった動きは、今後さらに広がっていく可能性があります。

自社の地域の発注機関の状況、方針等、情報収集を欠かさず、慌てることがないように準備が必要といえます。

元請事業者からの登録依頼も

現在、このシステムを登録を進めていくために、元請事業者を中心に働きかけを行っているようで、登録事業者は元請事業者が多数となっています。

このシステムでは、施工体制台帳、現場入場者の確認等、元請事業者が行う事務の効率化も目指しているのですが、効果を出すためには下請事業者のシステム登録が必要です。

このため、元請事業者よりシステム登録をするよう依頼される可能性もあります。

また、ある程度登録事業者が増えてきた場合は、登録事業者の中から下請事業者を選ぶといったことも考えられます。

機会があれば建設キャリアアップシステムへの対応について元請事業者に話を聞いてみて下さい。

結論は?

あくまでも私の考えですが、いずれ登録をせざるを得ない状況になると思います。

国は5年以内にすべての業者が登録することを目指しています。

今後も登録を進めるために、経営事項審査基準の更なる改正、建設業許可への活用等、様々な施策を打ち出してくるのではないでしょうか。

このシステムの是非はともかく、登録は避けられないのかなと感じています。

お見積もりは無料です。

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かきた行政書士事務所