施工計画書は受注した工事を確実に施工するため、必要な手順、施工における管理事項等をまとめたものです。
工事金額によっては、提出不要の場合もありますので発注機関での取り扱いを確認する必要があります。
今回は、土木工事における施工計画書についてまとめてみました。
記載事項
施工計画書の目次に当たる部分とも言えますが、下記の内容について記載します。
- 工事概要
- 計画工程表
- 現場組織表及び施工体系図
- 安全管理
- 指定機械
- 主要資材
- 施工方法(主要機械・主要船舶・仮設備計画・工事用地等を含む)
- 施工管理計画
- 緊急時の体制及び対応
- 交通管理
- 環境対策
- 現場の就業時間
- 現場作業環境の整備
- 再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法
- 総合評価に関する事項(誓約項目、技術提案または施工計画)
- その他
基本的な検討事項
施工計画書作成時に検討する基本事項は次の通りです。
- 工事の目的、内容、契約条件等の把握
- 現場条件(地形、気象、道路状況、近接状況、環境、制約条件)
- 全体工程(基本工程)
- 施工方法(施工順序、使用機械等)
- 仮設備の選択及び配置
こういった事項に留意しながら検討していきます。
何から始める?
施工計画書のひな形を手に入れ、いきなり作り始める前に、やっておくことがあります。
まずは、工事内容を確認します。
契約書、設計図書、図面等の精査を行い必要であれば現場状況の確認からスタートします。
(入札前に縦覧図書を見て内容の把握は完璧というなら別ですが・・・)
工事内容の精査を行うなかで、確認が必要と思われるものに関しては、発注者と協議を行い
発注者の方針とズレが無いよう理解を深めます。
これらの確認を行い施工計画書を作成することで、工事、現場条件に適した施工計画書となります。
施工計画書のひな形
すでに多くの施工実績がある場合、社内でマニュアル化しているケースもあるのではないでしょうか。
そうでない場合でも、施工計画書のひな形については、発注者のホームページ等インターネットを通じて容易に手に入れることができます。
インターネットでは工種別の作成例や、作成手順なども公開されていますので準備には苦労しないと思います。
ひな形利用時の注意点
ひな形が容易に手に入るからといって安易に作成してしまうと、後々発注者から不備を指摘される場合があります。
私も市役所職員の頃、似たような工事の施工計画書をそのまま使用して作ったもので、必要とされる項目が抜けていたり、その現場では実施しない工種が記載されているものを受け取った経験があります。
ひな形を使用する場合にも、それぞれの項目について自分が受注した工事内容に適しているか一つ一つ確認しましょう。
施工計画書の中身
ここからは、施工計画書を作っていくうえでの基本的な考え方、注意事項等について項目ごとに見ていきたいと思います。
計画工程表
各項目毎の作業開始、終了がわかるように記載し、気象条件、地質、地下水等により施工に影響が予想される項目については過去のデータ等も考慮して作成していきます。
作業日程の日数根拠については工程表に表示するか資料として整理し、内容について問われた際に説明ができるように準備してください。
現場組織表及び施工体系図
下請け契約を締結した場合は施工体系図が必要になります。
契約当初の時点では下請先が決まっていない場合も多いと思います。
この場合は、下請先が決まった時点で作成し提出します。
確認(証明)資料として
- 配置される技術者と受注業者の雇用関係が確認できる書類
- 資格者についてはその資格が確認できる免状等の写し
- 下請負契約に係る契約書等
について整備が必要となります。
安全管理
安全に工事を進めるために取り組む内容、体制等についてまとめます。
管理体制
責任者、管理者、作業主任者等を選任し責任体制を明確に表します。
管理活動
次のような活動を行います
- 新規入場者教育
- KY活動
- 始業前点検
- 安全巡視
- 工程会議
- 安全会議
- 災害防止協議会
- 店社安全パトロール
これらについて実施内容、頻度等についてまとめていきます。
実際の活動は記録に残し発注者から確認を求められた際、提示できるように整理を行っていく必要があります。
作業中止基準
たとえば、強風、大雨等の作業中止に関わる条件を整備します。
条件は単に「強風の時はクレーン作業を中止する」ではなく、強風と判断する基準についても具体的に記載してください。
その他
上記のほか、工事条件に応じて必要とされる安全項目についての記載を行います。
指定機械
指定機械は設計図書で指定されているものについて記載します。
施工方法で記載すべき使用予定機械との混同に注意してください。
主要資材
工事に使用する指定材料や主要資材について記載します。
特殊なもの、大量なものについては荷下ろし方法や保管方法について発注者より質問を受ける場合があります。
質問されても戸惑わないよう準備をしておいてください。
施工方法
施工方法は工種ごとに施工手順のフロー図を作成し、さらに必要な資料を作成します。
仮設設備については、平面図、構造図等を用いて、具体的に記載します。
施工方法の記載内容は、説明図、写真を併用し抽象的な表現にならないように気を付けて作成してください。
例えば土工事の転圧作業の説明として「十分に転圧します」といった抽象的な表現ではなく、「敷均し厚○○cm、転圧機械○○を使用し○回転圧します」のように具体的に記載した方が好ましいです。
次回「施工計画書の作り方(その2)」へ続きます。