[初めての公共工事]その3 入札へ!

前回までは入札参加資格を得た後は、どういったことを行うべきかについて説明をしてきました。

今回は、ついに入札へ参加することとなった際の準備から入札までについて解説します。

入札への参加

地道な努力が実を結び、ついに入札へ参加することとなりました。

ただし入札への参加権を得て、実際に入札が行われる日までは、そんなに時間があるわけではありません。
※基本的には工事金額によって見積もり期間が定められているのですが、少額工事の場合、その期間が短く設定されることが多いため注意が必要です。

短期間の中で工事内容の確認、工事価格の積算等を行う必要があるため、入札への参加が決まったらすぐに準備に取り掛からなくてはなりません。

工事内容の確認

まず設計書等の資料をダウンロードし工事の内容、施工条件等の確認をします。

同じ工種、近い設計金額の場合でも、施工場所の条件等によって経費等に大きく差が出る場合があり、結果的に利益にも差が生まれてきます。

まだ公共工事の経験が少ない場合は、受注実績を重ねていくことを優先すべきではありますが、どういう現場かということを把握したうえで入札に臨むようにしてください。

予定価格の事前公表

発注機関によっては予定価格を事前公表しています。 これについては、ブログの方でも記事を掲載していますのでご覧いただければと思います。

この方式において最低制限価格付近での競争になると、どうしても運の要素が強くなります。

ですが、きちんと自社が施工した場合での見積もりを行い、条件の良い悪いを判断し案件を見る目を養っていくようにしてください。

ある程度の経験と実績を重ね、新たな入札戦略を考えるときに、案件を見極める力も必要となります。

工事費の積算

ここからは予定価格が公表されておらず、工事費の積算から行っていく場合について説明していきます。

見積もりを依頼する

工事費の積算の中で、発注者の設計価格を求めることと、それを自社が行った場合どの程度の金額でできるか(利益が出るか)の両面を検討する必要があります。

実際にかかる金額を算定するには、普段資材等を仕入れている取引先へ見積もりを依頼する必要があります。

見積書もすぐにもらえるとは限らず、2~3日待ってということもあり得るため、設計書を入手したらすぐに依頼を出し、その返事を待ちながら積算作業を進めていきます。

特殊な製品を使用している場合は納期の確認も忘れないでください。

落札した後に、納期を理由に工期延長を願い出ても、特殊製品も工期も分かったうえでの落札じゃないのかと、厳しい返事が来るかもしれません。

公共工事は契約後に変更が必要となった理由を明確に説明できないと工期延長は認められないため、注意が必要です。

どこのメーカーに問い合わせても、工期内の納品は難しいといった場合、縦覧期間中に必ず質疑書を提出するようにしてください。

ここで工期に対する回答を得ておくことが重要です。

手作業か積算ソフトか

積算作業は、市販の積算ソフト等の活用が増えているように感じます。

積算ソフトを使用する場合でも、積算方法を理解したうえで使用することが、ソフトの能力を最大限に引き出すことにつながります。

また、積算基準に変更があった時などは、対応が間に合わないということも考えられ、こういった場合も、積算方法を理解しておくことにより、対応が可能となります。

私自身、前職において諸経費の取り扱いに変更があり、積算システムの対応を待たずに直ちに検証しなければならないということがあったのですが、その際はエクセルに計算式を組むことにより対応しました。

どういった手法で積算を行うにしても、その方法を理解しておくべきだと思います。

設計書

設計書は内訳書、明細書、代価表などによって構成されています。
※内訳書等の呼び方は発注者によって違う場合があります。

設計書には項目と数量だけが記載されており、当然ながら金額は記載されていません。

これを縦覧設計書と呼んでいるのですが、記載されていない金額部分を調べて工事費を算出していく作業が積算作業となります。

設計書を構成する費用は直接工事費と間接工事費に分けられており、大雑把な分け方をすると、直接工事費はその工事にかかわる材料や労務費を積み上げた合計、間接工事費は一般管理費、共通仮設費といった経費の部分になります。

間接工事費は主に直接工事費の合計金額に対して計算式に基づき算出していくため、まず初めに直接工事費を求めていくこととなります。

直接工事費の積算

初めて取り組む場合、「縦覧設計書に記載されている一つ一つの項目の金額ってどうやって調べるの?」という方もいるかもしれません。

実際やってみると分かりますが、単価、労務費、工種ごとの積算方法について大部分が公表されていて、それを手に金額を拾い出すという作業になります。

単価などで公表されていないものについては、物価資料等に掲載されているものを使用します。

物価資料は(一財)建設物価調査会の「建設物価」や(一財)経済調査会の「積算資料」が使用されています。

このほか特殊な単価については、参照資料または見積り単価そのものが公表されています。

慣れてくると、設計書を見て何を参照すればいいかわかるようになってきますが、初めのうちは大変かもしれません。

ただ、手間はかかりますが、コツコツ拾い上げることで、発注者が算出している直接工事費とほぼ同様な数値を得ることができます。

市販の積算ソフトは、あらかじめ公表されている単価データ等を備えているため、作業にかかる時間を大幅に短縮できるようになっています。

間接工事費の積算

間接工事費は工事内容等によってそれぞれ計算方法が定められています。

ただし計算は係数や補正値の取り扱いがあり、やや複雑です。

一つ一つ確認しながら計算を進めてください。

工事価格の確定

これまでの説明で分かるように、積算に必要な単価、計算方法といったものの多くは、いろいろな形で公開されていて、きちんと調べていくことで手にすることができます。

地道に作業を行えば、発注者の設計値に近づくことは可能ですので、労を惜しまず取り組んでみてください。

入札金額の決定

積算作業を進めている間に、当初依頼した見積書が集まってきていると思います。

これらを参考に、実際にどの程度の費用で施工ができるか、どの程度の利益が見込まれるかについて検討してください。

これによって、実際の入札金額を決めていきます。

あまり利益がないけど、実績を作るために受注を目指す、ほかの条件が良い案件を待つなど、考え方によって違いが出てくると思います。

ただし、指名競争入札で指名された場合、落札は目指さなくても入札自体は参加した方がいいです。

発注機関によって取り扱いが異なりますが、指名順位を決める際に入札への参加回数も加味する場合がありますので、発注機関の条例や規則、要綱等を一度確認してみてください。

また、入札は安ければいいというものではなく、先に紹介したブログ記事でも述べていますが、最低制限価格というものがあり、それを下回ると失格になってしまいます。

予定価格、最低制限価格の決め方についても、発注機関それぞれについて確認してください。

最後に

「初めての公共工事」その2でも述べましたが、毎年多くの入札が行われています。

これらを落札して契約するためには、現場代理人、主任技術者といった人員の配置も必要なため、配置する人員がいなければ契約ができないということにもなります。

このため受注できる工事数は、配置できる人員によっても制限されてきます。

初めのうちは、とにかく受注することを目的にしても良いですが、いずれは受注できる工事数を考えたうえで、どういった案件を狙っていくかといった方針を決めていくことも必要です。