公共工事|工事成績評定と点数

現在、多くの公共工事において「工事成績評定」が実施されています。

これは公共工事の品質確保を目的に、施工体制、施工状況、出来栄えなど多くの項目についてチェックを行い請負業者の能力を数値で表すものです。

簡単に言うと施工現場における通知表のようなものですが、その後の入札への参加等に対して非常に重要なものとなってきます。

今回のコラムでは「工事成績評定」とはどういったものなのか概要について解説させていただきます。

【CM】公共工事のスペシャリスト!

入札案件調査、工事積算、提出書類作成から検査までフルサポート!
発注者側として設計、積算を経験しているからこそ可能となった業務があります!!

はじめに

工事成績評定は、あらかじめ定められている項目に沿って評価を行っていきます。

この評価項目や運用方法等は発注機関それぞれによって定められています。

このコラム内では国土交通省が使用している採点表、チェックリスト等に基づき解説を進めていきますが、発注機関によって取り扱いが異なる場合がありますので、ご自身が入札に参加する発注機関の工事成績評定方法についてご確認をお願いします。

入札参加における「格付け」にも影響します

経営事項審査の点数と比べ、工事成績評定の結果についてはあまり重要視されていない方も多くいらっしゃるようです。

入札における「格付け」決定は、多くの発注機関が客観的事項(経営事項審査)と主観的事項(独自の判断基準)により算定するといった方法を実施しています。

そして上記の主観的事項における判断材料の一つとして工事成績評定結果が使われています。

より大規模な公共工事への参加を考えていらっしゃる場合は、経営事項審査対策だけでなく、工事成績評定対策も実施する必要があるといえます。

実施の流れ

工事成績評定は、施工体制、施工状況、出来ばえといった各項目について実施されます。

対象とされる工事は金額等によって定められています。(500万円以上など)
評価は複数体制で行われ、国土交通省の場合では「主任技術評価官」、「総括技術評価官」、「技術検査官」の3人体制となっています。

国直轄の工事を受注した経験が無い場合、なじみのない呼び方でピンと来ないかもしれませんが、発注者側の監督職員や検査員にあたるものだと考えてください。

発注機関それぞれの工事管理体制、検査体制によって工事成績評価の体制が作られています。

施工プロセスチェック

評価は契約の段階から始まっていると考えてください。

工事を施工していく段階で発注者は「施工プロセスのチェックリスト」に沿って施工体制、工程管理状況、安全管理等を確認し記録していきます。

チェックは「契約後10日以内に工事カルテ(コリンズ)の登録申請したか」といった契約直後のものから施工中に至るまで、細かく定められています。

そして工事完成時において、完成検査の結果と合わせて「施工プロセスのチェックリスト」によるチェック結果を参照として「考査項目別運用表」というものを作成します。

考査項目別運用表による評価

この表によって「施工プロセスのチェックリスト」を参照とする施工中の評価や、工事そのものの出来ばえといったものについて、各項目ごとに決められた評価基準に基づきa,b・・といった評価を行います。

そして項目ごとに定められた配点と計算式により、最終的な評価点が算出されることとなります。

何点だったらいいの?

得点は65点を基礎として、上記の「考査項目別運用表」の評価結果によって加点、減点をしていきます。

「普通」に工事を行い完成したという場合、加点も減点もなく65点となります。

つまり65点を下回る点数となる場合は、必ずマイナス要因があることとなり低評価と判断されます。

基本的に問題なく工事を完了した場合は、何らかの加点が付くと思われますので、70~80点が平均的な工事といえるでしょう。

80点を超える場合は大多数の発注機関で優秀な工事として取扱われます。

注意が必要なのは65点を下回る場合で、発注機関によって違いがありますが不適格工事として取り扱われ、入札が制限されるといった場合もあります。

工事規模にもよりますが、中小規模の工事の場合、まずは平均して75点以上を目指してみてはいかがでしょうか。

高得点を取りたい!

高得点のための対策は、それぞれの工事規模、現在の得点状況そして発注者の加点傾向等によってとるべき方法が異なってきます。

このため、ここでは多くの工事で共通して当てはまる対策についてを挙げさせていただきます。

発注機関の「施工プロセスのチェックリスト」を確認する

発注者はこのリストを使って施工状況をチェックするわけですから、点数を伸ばしたいと考えているなら真っ先に手をつけなければなりません。

このリストの内容をキチンとクリアし工事を完成した場合、70点を下回ることは、ほぼ無いと思います。

いかにして加点項目を増やしていくかを考える前の段階として、確実にクリアしておくべき内容です。

発注機関の「考査項目別運用表」を確認する

これにより、どういった項目が加点対象になっているのか、点数の配分が高い項目、低い項目等について確認します。

項目によっては、ちょっとした努力で加点対象となりそうなものがあるかもしれません。

ご自分の工事現場にあてはめながら、目を通してください。

  • 工事規模も関係あり
    工事規模も得点を左右し、大規模工事の方が高得点を得やすい傾向があります。
    これは評価対象とされる項目数が小規模工事と比較すると多くなることが一つの要因かなと思われます。
    中小規模の工事で80点以上の得点は、かなり本格的に対策を行わないと難しいと思います。
  • 発注機関で違いが・・・
    出来る限り客観的に評価ができるよう、「施工プロセスのチェックリスト」や「考査項目運用表」が準備されていると思いますが、最終的に決定するのは人間ですので運用の「クセ」が考えられます。
    発注機関によって「これをやっておけば加点対象になる」といった、お決まりのパターンがあるかもしれません。
    または評価が甘かったり厳しかったりの違いがあることも考えられます。
    実際に高得点を取っている工事業者がどういう対応をしているのかを研究したり、情報交換することで何かヒントが得られるかもしれません。

おわりに

改めて申し上げますが、工事成績評定は各発注機関それぞれで運用されています。

基本的な部分は共通していると思いますが皆様それぞれの地域における運用状況をご確認のうえ、今回のコラムを参考にしていただくようお願いいたします。

公共工事へ本格参入!

初めての公共工事でもご安心ください。
受注前、受注後もフルサポートで応援いたします!