公共工事においては、現場代理人の配置が必要となります。
公共工事における現場代理人について解説します。
現場代理人の役割
現場代理人の配置について、法律的に定められているわけではありませんが、発注機関の内規等により定められています。
法的には定めがないものの、「公共工事」においては現場代理人というものが必要ということを認識しておいてください。
まず、現場代理人の権限について長崎県で使用されている標準請負契約書を確認すると次のように記載されています。
4 現場代理人は、この契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更、工期の変更、請負代金の請求及び受領、第12条第1項の請求の受理、同条第3項の決定及び通知、同条第4項の請求、同条第5項の通知の受理並びにこの契約の解除に係る権限を除き、この契約に基づく受注者の一切の権限を行使することができる。
長崎県建設工事標準請負契約書第10条第4項
上記引用文の中に第12条について記載されていますが、これは「措置請求」についてのもので、工事施工において不適切な事項があった場合、発注者から対応を求められるものです。
簡単に言うと、契約解除に係る権限を除くほとんどの権限、責任が現場代理人にあるということになります。
現場代理人に必要な資格
現場代理人は、受注者の正規雇用職員であれば特に必要な資格要件はありません。
ただし、上記のように現場代理人には多くの権限が与えられており、その権限のもとに工事を履行する必要があります。
問題なく工事を進めるため現場を指揮、管理する能力が必要だと考えます。
現場代理人の常駐義務
公共工事で配置される現場代理人は現場に常駐しなければなりません。
上記で引用した長崎県建設工事標準契約書にも記載されているとおりです。
また、工事成績評定に使用される「施工プロセス」のチェックリストにおいても、現場代理人が常駐しているかどうかのチェック項目があります。
常駐義務の例外
現場代理人の常駐義務ですが、例外もあります。
再び、長崎県建設工事標準請負契約書を見てみます。
5 発注者は、前項の規定にかかわらず、現場代理人の工事現場における運営、取締り及び権限の行使に支障がなく、かつ、発注者との連絡体制が確保されると認めた場合には、現場代理人について工事現場における常駐を要しないこととすることができる。
長崎県建設工事標準請負契約書第10条第5項
これはどういった場合かというと、契約後、現場事務所等が設置されるまでの期間や、工場製作を行っていて現場自体は作業を行っていない期間、工事中止期間等があります。
つまり、現場で作業が発生していない期間ということになります。
もちろん、発注者に対しても工程表、打合せ簿等によって工事中止等の期間がわかるようにしておく必要はあります。
また、作業していないからといって、連絡取れないような状況は当然ダメです。
携帯等により連絡がとれる体制は維持しましょう。
現場代理人の兼務
現場代理人は常駐の必要があるため、基本的に兼務はできませんが、いくつかの例外があります。
近接、一体工事
まず、複数の工事について現場代理人を兼務する場合です。
同一の受注者が同じ場所もしくは近接した場所での工事を行う場合、当初契約に別途、随意契約が締結されたもので工事自体は一体性のあるものが該当します。
条件としては発注者又は監督員が求めた場合、求める工事現場 に速やかに向かう等の対応を行うことが必要であり、兼務しているいずれかの現場に常駐することが必要です。
営業所の専任技術者との兼務
この場合、実際に兼務が可能な状況であることと、工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあることなどを条件として認められる場合があります。
兼務を行う場合
上記で兼務可能となる場合について説明しましたが、これに該当しても工事金額等によっては兼務が認められない場合があるため、発注者へ事前に確認を取っておくことが大切です。
兼務を行う場合は通常その旨を「兼務承諾協議書」等により、発注者と協議し認めてもらう必要があります。
認められずに配置する人員もいないとなれば大きな問題となりますので十分に注意をしてください。
公共工事において、現場代理人さんは重要な役割を果たします。
大変ではありますが、良いものを作り上げていくため頑張ってください!