手探りの戦いが続いているといっていい新型コロナウィルスですが、建設業においても大きな影響を与えています。
公共工事、特にインフラ整備については社会的影響もあるため、「継続を求められる事業」として位置づけられています。
実際に各地の状況を見ても、これまで同様に発注がなされています。
もちろん、状況によって工事の中断という判断が必要となるケースもあると思いますが、今回は工事を行っていくうえで求められる対策について、国土交通省が策定したガイドラインを基に解説いたします。
建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン
このガイドラインは2020年5月14日に取りまとめられたもので、建設現場の立地や工事内容などを十分に踏まえた従業員などの感染防止対策、クラスター感染発生リスクの高い状況を回避するための対策を講じるものとされています。
公共工事を請け負う場合は、このガイドラインに沿うような形での現場環境づくりができているかといったことも、チェックされることになると思うので一度は目を通しておいた方がよいと思います。
これを機に、現場環境を改めて確認してみてはいかがでしょうか。
具体的対策
このガイドラインでは8項目に分けて対策についての説明がなされています。
それぞれの項目の主な内容は次のとおりです。
- 感染予防対策の体制
- 情報収集、対策検討組織づくり
- 健康確保
- 勤務前、勤務中の体調確認
- 自宅待機等の判断基準決定
- 建設現場
- 手洗い、消毒など衛生の徹底
- 朝礼、打ち合わせ、閉鎖空間での作業における3密対策
- 取引先等外部業者への対策周知
- 車両の乗り合わせを減らす等、密を避ける工夫
- オフィス等における勤務
- 手洗い、消毒など衛生の徹底
- 3密対策
- マスク、仕切り等による飛沫対策
- 定期的な換気、消毒
- 外勤時における人込みを避ける工夫
- 通勤
- テレワーク、時差出勤等による人込みを避ける工夫
- 従業員・作業員に対する協力のお願い
- 重要性の理解、周知啓発
- マスクの着用、咳エチケット等の徹底
- 感染者が確認された場合の対応
- 発注者、保健所等への連絡体制を構築
- 個人情報保護に配慮した情報の取扱いを実施
- その他
- 総括安全衛生管理者や安全衛生推進者と保健所等との連絡体制を確立
ガイドラインを見ていただければわかりますが、上に挙げた項目それぞれについて、事例を踏まえながら細かく記載されています。
実際にはこのガイドラインを参考に現場条件に適した対策を考案していく必要があります。
現場環境づくりはコロナ対策だけではありません
近年、現場に従事する方たちが快適に過ごせる環境づくりといったものが求められています。
これからの季節では熱中症対策も重要となってきます。(実際に熱中症対策としてマスクの代わりにフェイスシールドを着用している現場もあるようです)
工事費に占める諸経費は決まっているためその範囲内でということになりますが、できる限りの環境づくりに取り組んでいく必要があります。
今後の取り組みにも注意が必要です
今回のコロナウィルスによって、建設業の在り方に変化が出てくると思われます。
電子化、インターネットの活用といった流れが進んでいくのではないでしょうか。
現在、国が試行しているものではリモートによる「遠隔臨場」(現場確認)があります。
こういった流れは、今後地方にも広がっていくと考えられますので、他人事ではなく自分の地域でも取り入れられるかもといった認識で見ていく必要があると思います。