長崎県を中心に活動している行政書士のかきたです。
先日、会社設立のご依頼を受任する機会に恵まれました。
普段、公共工事関連業務をメインにしているため既に存在する建設業者様からのご依頼が多くを占めていましたが、今回は会社を立ち上げる場面での業務となります。
会社設立において行政書士ができるのは定款作成、認証までで、その後の登記は司法書士の先生へお願いする形となります。
この定款ですが、「電子定款を作成しオンライン申請を行う」ことで収入印紙代4万円が不要となります。
ご依頼いただいた方のご負担が少しでも軽くなるならと、当事務所でも電子定款による手続きを進めることとしました。
手続の中で、少し困ったことがありましたので、参考までに記事にしてみました。
そもそもSignedPDFは不要⁈
現在、SignedPDFは使用していません。
電子証明書(ファイル形式)を取得していればacrobat標準の署名機能を使用して電子署名可能です。
ブログ記事を追加していますのでコチラもご覧ください。
↓↓↓
はじめに
当記事は令和4年6月28日現在、私が確認できた内容の範囲で掲載しています。
パソコンを取り巻く環境は変化が速いので、少し時間がたつと掲載内容が当てはまらないケースも出てくるかもしれません。
この点をご理解のうえ、ご覧いただくようお願いいたします。
電子署名
今回は電子定款、認証手続きの流れ等の説明は行いません。
PDFで準備した定款に行う電子署名に焦点を当てたお話となります。
この署名方法ですが、行政書士等の専門家向けに発行される電子証明書(ファイル形式)を使用する方法と、マイナンバーカードに格納されている電子証明書(ICカード)を使用する方法があります。
個人で電子定款を作成する場合は、マイナンバーカードを使用することになります。
行政書士等で専用の電子証明書(ファイル形式)を取得していれば、無料のAcrobatReaderでも署名ができるらしいんですが、マイナンバーカードを使用する場合はAdobe社またはスカイコム社の有料ソフトが必要となります。
マイナンバーカード(ICカード)を使用して電子署名を行う環境が整っているのが基本的には上記の2社になるようです。
他のソフトでも所定の電子署名形式及び設定値を満たしていれば可能とのことなので、探せばあるかもしれません。
詳細は下記のHPをご確認ください。
登記・供託オンライン申請システム【PDFファイルに電子署名を付与する際の留意事項について】
無料のAcrobatReaderでマイナンバーカード(ICカード)を使用した署名が可能となるプラグインソフト(無料)もあるようですが、私が確認した訳ではないため、ここでの紹介は控えておきます。
マイナンバーカードによる電子署名
これまで電子署名が必要な業務を取り扱っていなかったため、行政書士専用の電子証明書を私は取得していませんでした。
証明書を発行してもらうには、郵送での手続きとなり少し時間がかかるようです。
ご希望の設立登記日に間に合わない可能性も考え、今回はマイナンバーカードを使用して手続きを進めていくこととしました。
PDF関連のソフトは既に使用しているAdobe社のAcrobat Pro DCです。
必要なソフトのインストールで・・・
ここからは以下の環境での作業を前提とした説明となります。
- OS:Windows10(64ビット版)
- 署名方法:マイナンバーカード(ICカード)
- カードリーダー:パソリ
- PC:windows10(64bit)
- PDF作成ソフト:Acrobat Pro DC(サブスクリプション版)
- 署名用プラグイン:SignedPDF(登記・供託オンライン申請システムよりDL)
Acrobatは業務で使用しており、マイナンバーカードおよびカードリーダーもe-Taxで使用していたため、署名用プラグインソフトをインストールしてサクッと完了する予定でしたが・・・
うまくいきません!
SignedPDFが表示されないんですが・・・
ブログタイトルのような状況になりました。
電子定款を作成しようと、最近になって色々揃えた方はひょっとしたら同じ状況を経験しているかもしれません。
どういうことかというと、SignedPDFをインストールした後、Acrobatの署名設定で署名方法をSignedPDFに変更する必要があるのですが、ドロップダウンリストにSignedPDFが表示されていないので変更のしようがないという状況です。
色々なサイトを見ても、
「署名方法をSignedPDFに変更しましょう」
と説明されているだけです。
インストールしなおしてもダメ・・・
困りました。
原因は分かったけど・・・
色々確認していたらわかりました。
今の環境ではできません。
スクリーンショットを取り忘れましたが、インストール先が
C:\Program Files (x86)\Adobe\Acrobat DC\Acrobat\plug_ins\SignedPDF
となっています。
下線部分のProgram Files (x86)というのは32ビット用のプログラムがインストールされるフォルダです。
どうも32ビット版のAcrobatシリーズに対応したプログラムのようです。
64ビット用ならば下線部分がProgram Filesとなります。
私のPCは64ビット版です。
インストール済みのAcrobatも64ビット版です。(AdobeのHPからダウンロードする場合、PCに合わせて自動的に64ビット版が選択されます。)
インストールガイドにもHPにもどこにも記載してないじゃん!!
と思ったのですが、操作説明書に記載がありました。

しっかり32ビット版って書いてある。OSは64ビット版も対応してるのに・・・
登記・供託オンライン申請システムHPもそうですが、他の電子定款作成について説明しているサイトでも目立った説明がされていないように感じます。
重要なことだと思うのですが。
せめてダウンロードページに動作要件として表示してほしかったです。
知らずにAcrobat(64bit版)を準備して、「うまくいかない!!」となっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。(安いソフトではないのに・・・)
このままでは電子定款が作れないしどうしようかとしばらく悩みました。
AcrobatProDC(32bit版)の再インストールで何とか解決
私が使用しているのはサブスクリプション版なので、これを前提とした説明となります。
参考にする場合は、自己責任でお願いします。
普通に思いつくのが、64bit版をアンインストールして32bit版をインストールするということだと思います。
ただ、Adobe社のHPを見てもAcrobat Pro DCの32bit版を選んでダウンロードする方法が分かりません。
ずいぶん時間を費やしてたどり着いたのが、Adobe Readerのダウンロードページから32bit版を選択してダウンロードするという方法です。
Adobe社のHPがリンクフリーなのか確認ができなかったので文章での説明となります。
- インストールされているAcrobat Pro DCおよびSignedPDFをアンインストール
- Adobe社のHPを開く
- ページの最下部にある「おすすめダウンロード」のAcrobatReaderをクリック
- McAfee社のセキュリティソフトが一緒にダウンロードされる設定になっているので、必要ない場合は中央にある提供オプションのチェックを外す。
- 中央下部の「別の言語版または別のオペレーティングシステムをお持ちですか?」をクリック
- 左側下部に表示されている手順1~3の該当するものを選択。
手順3は(64bit)と表示されていない方を選択します。(これが32bit版になります) - 右側の「AcrobatPro体験版をダウンロード」をクリックしインストール
- 登記・供託オンライン申請システムHPより署名プラグインソフトSignedPDFをダウンロード、インストール
以上の作業を行いました。
体験版のダウンロードですが私の場合はそのままアカウントが認証され通常の状態になりました。
(途中でAdobeIDの入力を求められたような気もしますが記憶があやふやです。)
ただ、Acrobat Pro DCではなくAcrobat Standard DCの場合どうなるかわかりません。
解決したのですが
今回は無事に電子定款を作成し、解決することができました。
ただ、今後を考えるとどうするか悩ましいところです。
Acrobatもそのままにしておくと勝手に64bitにアップロードされてしまうようです。
かといって更新を止めておくのも、セキュリティーや不具合に対してどうかと思います。
64bit版に対応してもらえたらいいんですけど。
電子化を進めていく方針に対して、体制作りが追い付いていないという・・・
少し様子を見て判断したいと思います。
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